前世恋人だった副社長が、甘すぎる
副社長の言葉を遮るように、人さし指を唇の前に差し出した。
これで副社長も黙ってくれると思ったのに……ぱくっ、と私の指を口に含む。
慌てて手を引こうと思ったが、副社長は離してくれない。
優しく、だけどしっかりと私の手を掴んだまま、その人差し指を口に含み舌で転がす。
そのままいたずそうに甘い瞳で私を見るのだ。
私はもう、恥ずかしくって身体が熱くって、ポーカーフェイスなんて出来ず真っ赤な顔をしている。
歪んだ私の顔を見て意地悪く笑いながら、
「ごちそうさま」
妖艶な声で告げた。
も……もう!なにがごちそうさま、だ!!
こうやって散々副社長に弄ばれ、ようやく私の家に着く。
ごく普通の賃貸マンションを見て、副社長はこの庶民めと鼻で笑うだろうと思った……が。