前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「そちらが旦那様ですか?
……まあ、たいそうかっこいいかたですこと!」
奥さんは副社長を見て頬を染めている。だけど私は副社長を睨んでいた。
きっと、これは副社長のせいだ。
副社長は私を秘書にしただけではなく、私の家まで引き払ってしまったのか。
なんという行動の速さと執着心の強さだろう。
おまけに結婚だなんて、誰が言い始めたのだろう。
そして当の本人は、涼しい顔をして私を見下ろしている。
わざととぼけて?(はてな)が浮かんだような顔をして。