前世恋人だった副社長が、甘すぎる
何とか甘い空気を変えなければいけないと思い、
「ご、ご飯作りますね!」
私は絡みつく副社長を押し退けた。
だけど副社長はまた、黒崎ホテルグループの副社長らしからぬことを言うのだ。
「俺が作るよ。得意なんだ」
「ちょ、ちょっと待ってください!
副社長に料理を作らせるなんて……!!」
止めに入った私の手を、ぎゅっと握る副社長。
こうやって副社長は、いちいち私に不意打ちをする。
「今は業務時間外だ」
低くて甘い声。
「今後俺のことを、副社長と呼ぶことを禁止する」