前世恋人だった副社長が、甘すぎる



「……早すぎます」


弱々しく告げ、怜士さんを押し退けようとする私の手を、ぎゅっと掴まれる。

不意打ちで顔が真っ赤の私を、勝ち誇ったような余裕の顔で見下ろす怜士さん。

それがたまらなく色気があって、顔から火を吹いてしまいそうだ。

そのまま怜士さんは、捕まえた私の手に唇を付ける。

何度もちゅっちゅっとわざとらしく音を立てて。

そして唇を付けたまま、ぞっとするほど甘い瞳で私を見る。

恥ずかしいのと身体が熱いのと、おまけに変な声まで出そうになってしまうのと。

必死で口を噤んで真っ赤な顔で耐える私を見て、怜士さんも満足したのだろう。


「早くない。俺は今すぐにだってしたいんだ」


低くて甘すぎる声で囁いた。



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