前世恋人だった副社長が、甘すぎる
そんなことを考えながら、3週間後のフランスへの出張の航空券や送迎を手配する。
なぜか話せるフランス語でやりとりする私を、いつの間にか手を組んで見ている怜士さん。
きっと、クリスチーヌのことを考えているのだろう。
そんな怜士さんに、わざと見えないように背を向けたのは言うまでもない。
「なあ……」
電話を終えた後、待ってましたと言わんばかりに口を開く怜士さん。
どんなことを言うのだろう。
航空会社に要望を出しすぎただろうか。それとも、私がフランス語を話せることに突っ込まれるのか。
なんて不安に思ったのだが……
「座席、一席しか確保していないのか?」
怜士さんの言葉は、私の想像の斜め上を行くのだ。
「エールフランスのファーストクラスは並び席だ。
穂花も隣に席を取ろう」