前世恋人だった副社長が、甘すぎる
ちょ、ちょっと待って。
どうして私も行くことになっているのだろうか。しかも、ファーストクラス!?
「わっ、私はエコノミークラスで大丈夫です。
そ、それよりも、副社長の留守の間、副社長室を守らないと」
必死で止めるのに、
「拒否権は無しだ」
彼はピシャリと言い放つ。
「それに俺を副社長と呼ぶな。
……悪い子には、あとでお仕置きだ」
ぞっとするほど甘い声で言い放ち、私の手から電話を奪い取った。
そして、どぎまぎする私の前で再度航空会社に電話をかけ、本当に並びでファーストクラスを取ってしまったのだ。
それだけではない、宿泊予定の系列ホテルに怜士さんが直々に電話するものだから、相手があからさまに怯えているのが分かった。
そもそも、こういう仕事は秘書の仕事なのに、怜士さん自ら何をやっているのだろう。
「穂花は語学にも堪能だから、現地で俺をサポートしてくれ」
爽やかにそう言うが……怜士さんだって普通に英語やフランス語を話しているでしょう!だなんて言葉が出かかった。