前世恋人だった副社長が、甘すぎる


ちょ、ちょっと待って。

どうして私も行くことになっているのだろうか。しかも、ファーストクラス!?


「わっ、私はエコノミークラスで大丈夫です。

そ、それよりも、副社長の留守の間、副社長室を守らないと」

必死で止めるのに、

「拒否権は無しだ」

彼はピシャリと言い放つ。

「それに俺を副社長と呼ぶな。

……悪い子には、あとでお仕置きだ」


ぞっとするほど甘い声で言い放ち、私の手から電話を奪い取った。

そして、どぎまぎする私の前で再度航空会社に電話をかけ、本当に並びでファーストクラスを取ってしまったのだ。

それだけではない、宿泊予定の系列ホテルに怜士さんが直々に電話するものだから、相手があからさまに怯えているのが分かった。

そもそも、こういう仕事は秘書の仕事なのに、怜士さん自ら何をやっているのだろう。


「穂花は語学にも堪能だから、現地で俺をサポートしてくれ」


爽やかにそう言うが……怜士さんだって普通に英語やフランス語を話しているでしょう!だなんて言葉が出かかった。



< 95 / 258 >

この作品をシェア

pagetop