曇りのち晴れ、SWAN航空幸せ行き〜奥様はエリートパイロットともう一度愛しあう〜
第二話
「あ」
理人からメッセージが届いた。 いそいそと確認する。
『二人で会わないか。君の都合のいい日に合わせる』
……さすがにここまできたら、友達の誘いではないことはわかる。
理人だって、パイロットに声をかけられたら女性が有頂天になるはずだと知っているはず。
だから、彼は覚悟して声をかけてきているのだと思いたい。
しかし。
「……なんで私なの?」
そこがわからない。
自分の容姿も能力もいたって普通。
CAやGSのほうがよっぽど美しく、打てば響くような才気煥発さがあるだろうに。
「グラハンだって、確かに大事だけど」
言ってしまえば、誰にでも出来る仕事だ。
AIやロボット運転による貨物運搬も試験的に行われていると聞くから、近い将来トーイングカーは無くなってしまうかもしれない。
「飛行機を定時に飛ばすために一生懸命だけど……、みんなそうでしょ?」
特筆すべきことでもなんでもない 。
「……お姉ちゃんに聞いてみようかな」
三十歳の美空はシングルマザーで、他の航空会社で飛行管理責任者として働いている。
別会社だが姉なら理人の評判を聞いているかもしれない。
「ダメ」
子供がいて、余裕のない姉に聞けない。…… 本音は姉に反対されるのが怖い。
「ライネさんに相談しようかな」
なんとなく、彼は自分と理人の間を取り持ってくれているような気がする。
ミカから送られる理人像は、どこまでも真面目だ。
友人目線での一柳理人という男性は、ステイ先で筋トレやジョギングなどを行って体調管理に努めている、ストイックな人物だ。
だがミカと二人だけの画像からは、パイロットという殻を外した、一人の男性の顔を見せてくれる。
希空はそこに惹かれる。
「一柳さんがチャラ男なら、ライネさんは正直に教えてくれてるはず」
希空はひまわり畑の一輪で、理人は太陽で。
そもそもたった一輪が太陽を独り占めすることなんて、できるのだろうか。
それでも。
「将来傷つくのが怖いからお断りしたとして……今度一柳さんを見かけたときに、彼の隣に恋人が並んでいるの見たら、絶対に後悔する」
悩むところを通り過ぎてしまっていることに気づいた希空は、意を決してメッセージをアプリに書き込む。
「会いたいです」
希空が指定したその日は、奇しくも飲み会で二人が挨拶をした日から三ヶ月目だった。
『わかった』
すぐに連絡が来たので、希空は携帯をぎゅと抱きしめた。
「デートのことはライネ機長にも、ほかの人にもご内密に」
メッセージとともに「なにとぞ」と拝むスタンプと一緒に送った。
『とりあえず了解』
今度は少し間があり。
なぜか、むうと頬を膨らせているスタンプと一緒に来た。
理人からメッセージが届いた。 いそいそと確認する。
『二人で会わないか。君の都合のいい日に合わせる』
……さすがにここまできたら、友達の誘いではないことはわかる。
理人だって、パイロットに声をかけられたら女性が有頂天になるはずだと知っているはず。
だから、彼は覚悟して声をかけてきているのだと思いたい。
しかし。
「……なんで私なの?」
そこがわからない。
自分の容姿も能力もいたって普通。
CAやGSのほうがよっぽど美しく、打てば響くような才気煥発さがあるだろうに。
「グラハンだって、確かに大事だけど」
言ってしまえば、誰にでも出来る仕事だ。
AIやロボット運転による貨物運搬も試験的に行われていると聞くから、近い将来トーイングカーは無くなってしまうかもしれない。
「飛行機を定時に飛ばすために一生懸命だけど……、みんなそうでしょ?」
特筆すべきことでもなんでもない 。
「……お姉ちゃんに聞いてみようかな」
三十歳の美空はシングルマザーで、他の航空会社で飛行管理責任者として働いている。
別会社だが姉なら理人の評判を聞いているかもしれない。
「ダメ」
子供がいて、余裕のない姉に聞けない。…… 本音は姉に反対されるのが怖い。
「ライネさんに相談しようかな」
なんとなく、彼は自分と理人の間を取り持ってくれているような気がする。
ミカから送られる理人像は、どこまでも真面目だ。
友人目線での一柳理人という男性は、ステイ先で筋トレやジョギングなどを行って体調管理に努めている、ストイックな人物だ。
だがミカと二人だけの画像からは、パイロットという殻を外した、一人の男性の顔を見せてくれる。
希空はそこに惹かれる。
「一柳さんがチャラ男なら、ライネさんは正直に教えてくれてるはず」
希空はひまわり畑の一輪で、理人は太陽で。
そもそもたった一輪が太陽を独り占めすることなんて、できるのだろうか。
それでも。
「将来傷つくのが怖いからお断りしたとして……今度一柳さんを見かけたときに、彼の隣に恋人が並んでいるの見たら、絶対に後悔する」
悩むところを通り過ぎてしまっていることに気づいた希空は、意を決してメッセージをアプリに書き込む。
「会いたいです」
希空が指定したその日は、奇しくも飲み会で二人が挨拶をした日から三ヶ月目だった。
『わかった』
すぐに連絡が来たので、希空は携帯をぎゅと抱きしめた。
「デートのことはライネ機長にも、ほかの人にもご内密に」
メッセージとともに「なにとぞ」と拝むスタンプと一緒に送った。
『とりあえず了解』
今度は少し間があり。
なぜか、むうと頬を膨らせているスタンプと一緒に来た。