先輩の理性、疼かせてもいいですか?
「大勢が集まる場所だからね。当然、抑制剤は飲んでるよ。なのに演説台に立ったら…きみからバチバチってフェロモンの波長を感じた…」

「なんで私だって…?」

「分かんない。こんなことは初めてだ。クラスにもヒートの女子がいる。でもここまで疼くことは無い。きみ、変だよ…フェロモンの波長が目に見えてるみたいで…」

「せんぱ…ぃ…私も…目がチカチカって、今もほんとは…」

「苦しいの?」

おんなじようにしゃがみ込んだ私を、先輩は両腕で包み込むようにして、私の背中を壁に預けさせた。

ふたば先輩の吐息を耳元で感じた。

低すぎない、ハスキーを帯びた声が切なそうに、もう少しだけ高くて…深い吐息に変わる。

「きみの香り…?甘い…」

「セナです」

「セナ?」

「私の名前」

「セナ。ごめん、も…とっくに触れちゃってると思うけど…口、いい?」

「…初めて…なんです…今まで抑制剤でどうにかしてたからッ…だから分かんないっ…」

「初めてなの?俺でだいじょうぶ?あー…ダメって言われてもなんか…ムリ…止まれない」

ちゅ、ってかすめるくらいのキスを…推しにされちゃった!

それだけでも脳がクラァってして、
呼吸ができなくてどうしようって感じなのに、
一度くちびるを離したふたば先輩は、そのまま噛みつくように何度も何度も深いキスを繰り返した。

唾液が混ざり合う音が響いて、
どれだけ繰り返しても疼きが止まらない。

「きみが近くにいると変な気分になる…」

「せんぱ…ぃ、煽んないで…だめ…ごめんなさいッ…ヒートが…っ!」
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