先輩の理性、疼かせてもいいですか?
「せんぱ…ッ…」

目尻に滲んだ涙をふたば先輩の人差し指がすくった。

「とまんない?」

「とまんない…です…おかしくなりそ…」

「セナ…もしかして…」

先輩の手が、顎よりちょっと長い私の前下がりのボブヘアを両手で耳にかける。

「舌、出して」

「し…した…?」

「べーって。できる?」

「へ…?こ…こぉ…れすか…?」

「うん。じょうず」

お医者さんでもないのに恥ずかしい。
ジッと私の舌を見た先輩が、ギューッと強い力で私を抱きしめた。

苦しくてトントンって先輩の背中を叩いたら、
「ごめん」って言って力をゆるめてくれたのに、
先輩はまた深いキスをして、私の耳元で囁いた。

演説台でマイク越しに聞いた声よりも色っぽく熱を帯びて、
飲んだはずの抑制剤も無効化してしまうほどの本能。

「俺とセナ、純血種みたい」
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