先輩の理性、疼かせてもいいですか?
それに私、なんとなく気づいてるんだよね。

ふたば先輩は、たぶん“プラス”だ。

だって、隠しようもない…。
至近距離に近づかなくても、ふたば先輩を見た瞬間に、私の“ヒート”が疼いた。

これは、細胞レベルの一目惚れだ。

この世界には、ヒートとプラスって呼ばれる二つの“本能”が存在する。

ヒートは女性にだけ、
プラスは男性にだけ与えられる特別な本能で、
数百人にひとりの確率で先天的に発現する。

ヒートはその名の通り“発情”を意味する。
学校の中の学年ごとに二、三人くらいだよって、
中一の頃、お医者さんに教えてもらった記憶がある。

厄介なのは、どちらも性的欲求に対して発作が出るってこと。

発情期のプラスは、ヒートだろうが一般人だろうが発情してしまうけれど、国が認定した抑制剤によって多少はやわらげることができる。

ヒートも抑制剤の所持はマストだけど、
強く欲求が出てしまうのは、プラスにだけなんだよね。

ヒートとプラスが出会うことがけっこう珍しいんだけど、
さらに低い確率で、本能がピタっとマッチする“純血種”の男女が存在する…らしい。

純血種が出会った場合、
ヒートはプラスの血液を経口摂取することでしか、自分の暴走を抑えることができなくなる。

私はまだ純血種には出会ったことがない。
プラスの男子なら中学の先輩にいたけれど、
面識があったわけでもなくて、たしかにフェロモンの波長は感じるんだけど、
そのプラスとどう違うのか、まだ分からない。

ヒートとプラスは、遺伝とは関係ないみたい。

私のお父さんもお母さんも一般人だ。
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