先輩の理性、疼かせてもいいですか?
「セナ、やったね」

小声でゆいちゃんが腕を揺すってくる。

本当はアイドルのライブみたいに叫びたいけれど、グッとこらえた。

「入学生の皆さん、おめでとうございます」

マイクを通して体育館に響き渡るふたば先輩の声。

男性!って感じじゃない、低すぎない声に、
ほんのちょっとハスキーが混ざっていて、でも軽やかに聞こえる素敵な声…。

肌…白い…。
ちょっと離れてても分かる。指も長くてきれーい。
髪の毛イイ匂いしそー………

チカチカって視界がかすむ。
これはきっとふたば先輩が美しすぎるからだ。

だって動悸までしてくるもん………あれ、私、抑制剤飲んだよね…。

「ッ…」

ふたば先輩の声が、壁一枚隔てた場所から聞こえてくるみたいだった。

「これから…みなッ…さんとは…」

先輩…なんで苦しそうなの…。

「ァッ…ハァ…」

「セナ…?大丈夫?」

小声で私の顔を覗き込むゆいちゃんに小さく頷き返した。

しょうがないよね。
ひとつの場所に沢山の人が集まってるから、普段よりプラスの割合も多くなってる。

もしかしてふたば先輩もそれがツライのかな…。
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