先輩の理性、疼かせてもいいですか?
憧れ続けたふたば先輩が目の前にいるのに、
集中して声もよく聞けないまま、先輩は一礼してステージをおりてしまった。

それから先輩達が校歌を歌ったりと式は進行していったけれど、あんまり記憶にない。

入学生退場の号令がかかって、一組から順番に体育館を退場した。

後ろからどんどん生徒達が押し寄せてくる。
この流れに身を任せて前に進む力が無かった。

スッと脇に逸れた私を、人混みに押されていたゆいちゃんは見失った。

どうしよう、抑制剤ポケットに入れてたよね…。

校舎のほうへ流れていく生徒達とは反対に、
体育館の壁沿いに運動場のほうへ外れていく私の手首を、後ろから誰かが掴んだ。

「えっ…」

「こっち」

振り返って見上げたら、ふたば先輩のお顔。

チカチカってさっきよりも視界がかすむ。
肌がピリピリする。

「なんで…」

先輩の頬が紅潮して見えるのは気のせい?
…あぁ、先輩がプラスで私がヒートだからか。

先輩…ふたば先輩。
発情しちゃってるの?
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