【マンガシナリオ】優しくない推しの"熱愛報道相手"に選ばれました!?

4話

~3話の振り返り~
○学校 • 空き教室

リウ「お前、姉貴の代わりに俺の熱愛報道相手になれ」
桜「は……?」

桜(推し、Look for your.のリウ様の熱愛報道相手に、なぜか私が選ばれてしまい、)


○シェアハウス • リビング

桜の前にやってくるリウ。

リウ「お前には今日からこの家で過ごしてもらう」
桜「……へ?」

桜(まさかの同棲宣言をされた私、花上桜)


○同•桜の部屋

リウ「俺の母親に合ってもらう」

桜(そしてまさかのリウのお母さんに会うことに!?)


ポケットから小さい小瓶を取り出す碧。

碧「香水。つけると、これを嗅いだ同性が自分のことを好きになるものだ」

桜(碧くんに秘密兵器をもらい、いざ!と意気込んだけど)

○風沼家•寝室
 
 ベットでユイナに押し倒されている桜。
 手は上で手錠をかけられている。

ユイナ「私の可愛い子……」

 顔が近づいてくる。

桜(これは予想以上に効果がありすぎではないでしょうか!?)
 
~振り返り終わり~


○シェアハウス•玄関(朝)

 桜がおしゃれをしてリウを待っている。

桜(この服で大丈夫かな?スカート短すぎ?ていうかカッコいい女の子を演じてズボンの方がいい!?)
リウ「はよ」
桜「おおおおおおおはよ!?」

 素晴らしくカッコいいリウが現れる。

桜(はぁ、今日も推しが尊っっ)

 見とれる桜。

リウ「なに?」
桜「んーん、なんでも!」
リウ「……」

 桜の顔をジーッと見つめる。

桜「な、なに?」
リウ「……」

 顔が近づいてくる。

桜(なにこれなにこれなにこれ。もしかしてキ─)
リウ「お前、なんか変な匂いしないか?」

桜(そっち!?)

桜「え?えっ、そうかな?」
リウ「まぁいい。行くぞ」
桜「はい!」

桜(碧くんからもらった香水をつけたけど、異性には変な匂いに感じるのか。なんかちょっと残念)

 車に乗り込む2人。

 しばらく沈黙が続く。

桜(なんか推しが隣に座ってるだけでソワソワする)
 (しかも沈黙!なにか話題話題……)

リウ「母親になにかされたらすぐに言え。それか叫べ」
桜「え?」
リウ「母親は俺のことが好きだ。本当はお前に一生合わせたくなかったが、それはそれで怖いから仕方なく合わせる」

桜(なんかその言い方、私を守るためみたいな)

リウ「俺がずっと側にいるつもりだが、念のため」

 リウから、黒く小さいものを渡される。

桜「なにこれ?」
リウ「小型GPS だ」
桜「GPS!?」
リウ「俺の携帯からお前がいる位置が分かるし、マイク付きだからお前の声もちゃんと聞こえる」
桜「そんなに厳重にしないとなの?お母さん……」

桜(いや昨日の碧くんの話を聞く限り、やばそうだもんね)

桜「分かった。持ってるね」
リウ「持ってるんじゃなくて、」

 リウが桜のコートをめくる。

桜「ちょっ!」
リウ「できた。見えない位置につけておいた」
桜「あ、ありがと」

桜(いきなり近くなったらびびるよ!!)

リウ「着いたぞ」
桜「もう!?」

桜(まだ心の準備が出来てないよ!)

 車から降り、目の前の光景に口をあんぐり開ける。

桜「え……」
リウ「どうした?」

 そびえ立つ豪華な門。広い庭。そして豪邸が奥に見える。

桜「ここがリウの実家?」
リウ「あぁそうだけど」
桜「あー、へーそうなんだ」

桜(さすがに私物凄く場違いなのでは?こんな一般庶民が入っていい場所じゃないのでは!?)

リウ「ほら、行くぞ」

 手を引っ張られる。

桜「わっ」
リウ「とにかく全力で俺の婚約者を演じろ。無事またこの門をくぐって外に出られたら、なんでも言うこと聞いてやる」
桜「なんでも!?」
リウ「あぁ」

桜(まさかのご褒美つきか!よし!)



○風沼家•リビング

 長テーブルに座っているカチンコチンの桜。
 小声で、

リウ「おい、もっと普通にしろ」
桜「これが精一杯!」

 ドアが開き、ユイナが入ってくる。
 立つ2人。

ユイナ「いいのいいの座って!」
リウ「お久しぶりです」
ユイナ「本当よ。こっちは毎日でも帰ってきて欲しいくらいなのにっ」
桜「あ、あの」
ユイナ「あなたが桜さんね!リウから話しは聞いてるわ」
桜「初めまして!花上桜ですっ」
ユイナ「初めまして。リウの母親の風沼ユイナです。よろしくねっ」
桜「はいっ!よろしくお願いします!」

桜(めちゃくちゃ優しい。なんか心配しすぎたかも?)

ユイナ「こんな可愛い子がいるならもっと早く連れてきて欲しかったわ~」
リウ「仕事が忙しくて」
ユイナ「そうよね。リウのアイドル姿は世界1カッコいいと思うわっ。誰にも見せたくないくらいにね」
桜「わ、私もそう思います!リウくんカッコいいですよね」

 沈黙。

桜(私なにかまずいこと言っちゃったかな)

ユイナ「本当にそうね。それはそうと桜ちゃんからすごく良い匂いがするわ」
桜「へっ!?」
ユイナ「なにか惹かれる甘い匂いね。素敵」
桜「ありがとうございます!」

桜(香水の効果だ!)

リウ「そろそろ帰ります」
ユイナ「えーまだ来たばかりじゃないの」
リウ「やらなきゃいけないことが溜まっているので

ユイナ「それはアイドルの仕事?」
リウ「はい」
ユイナ「じゃあ桜ちゃんは関係ないわね!ねぇねぇ女子トークしましょっ」
桜「え!?」
リウ「桜も一緒に帰ります。初手から二人きりは緊張してしまうでしょう」
ユイナ「大丈夫よ~、取って食ったりしないから。ねっ、桜ちゃん♪」
桜「あ、う、……はい」

 リウが呆れた顔を見せる。

ユイナ「さ、早くリウは帰りなさい~。私がお見送りしてあげる~」

桜(いかないでいかないでいかないでー!)

リウ「……では失礼します。桜、先に帰ってる」
桜「分かった」

 リウが桜の目を見る。
 が、ユイナと外に行ってしまう。

桜(大丈夫か私!でも、怖くないし優しいお母様だしきっと大丈夫だよね?)

 ユイナがお茶を持って帰ってくる。

ユイナ「さてとっ。お茶でも飲みながらお話しましょ!」
桜「ありがとうございます。いただきます」

 飲み干す。

ユイナ「リウのどこが好きなのー?」
桜「どこ……勿論全部ですが、1番は優しいところでしょうか」
ユイナ「優しい?あの子素は優しくないんじゃない?」
桜「それはそうなんですけど。なんというか、優しくない中に優しいがあるっていう感じで」
ユイナ「へぇー、案外ちゃんとあの子のこと見てるのね」
桜「え?……あ、れ」

桜(なんだかクラクラする)

 目の前が傾き、倒れる桜。
 お茶のティーカップが割れる。

ユイナ「全く、本当にめんどくさいわ」

 ユイナが桜をかかえ、リビングから出ていく。




○同•寝室

 桜が目を覚ます。

桜(あれ私どうなって)

 手を動かそうとするが、手錠で繋がれている。

桜(なにこれ!?)

ユイナ「あらお目覚め?」
桜「これはどういうことですか!?」
ユイナ「どういうもなにも……」

 桜の上にまたがる。

ユイナ「あなたが可愛くて可愛くて、つい睡眠薬を盛ってしまったわ」

 頬に手を添える。

桜「っ!」
ユイナ「私の可愛い子……」

 顔が近づいてくる。
 目をつぶる桜。

桜(こんなに効果あるなんて知らなかった!どうすれば……あ!GPS!)

桜「助け─んん」

 口を塞がれる。

ユイナ「あなたが今助けを求めようとしているものはこれかしら?」

 目の前にGPS を出される。

桜(いつの間に!)

ユイナ「あら~手が滑っちゃったっ」

 手で潰す。

桜(頼みの綱が!!)

ユイナ「家は全部鍵がかかってるから、どちらにせよ助けには来れないわよ」

 桜の口から手を離す。

桜「そんな!」
ユイナ「さぁ、お楽しみを始めましょう」

桜(このままじゃまずい!なにか気をそらさないと)

桜「あああ、あの!」
ユイナ「?」
桜「ごめんなさい。実は同性が自分を好きになるっていう香水をつけてました!なので、お母様が私をいいなって思うのはそのお陰なんです!!正気を取り戻してくださいっ!」
ユイナ「……」

桜(よし!これで戻ってくれるはず)

ユイナ「ぷっははははははは!桜ちゃん面白い!」
桜「え?」
ユイナ「そんな香水あるわけないでしょっ」
桜「え?え?でも」
ユイナ「碧はそういうの昔からよく作ってるけど、私には効かない」
桜「そうなんですか!?」

 コソッと、

ユイナ「まぁしょうがないか。碧はリウのことが好きだし」
桜「え?ごめんなさい、今なんて」
ユイナ「んーん、なんでもない。それより、私リウをあなたに渡したくないわ」
桜「といいますと……?」
ユイナ「リウじゃなくて私を好きになりなさいよ」
桜「おっしゃる意味が……」
ユイナ「そう。じゃあ体に教えるしかないわね」

 顔を唇に近づけていく。

桜(あぁリウより先にキスしちゃう!助けて!リウ!)

 ガシャンッ!!というすごい音がして、寝室の窓ガラスが割れる。

リウ「はぁ、なにやってんだ」
ユイナ「あら遅かったわね」
桜「ななななななな」
リウ「桜から離れろ」
ユイナ「やぁよ。珍しくこの子素直で可愛いんだもん。気に入っちゃった」
リウ「離れないともう一生家には帰らない」
ユイナ「え……冗談でしょ?」
リウ「さぁな」
ユイナ「わ、分かったわよ。今日のところはこれくらいにしてあげるわ。早く家から出ていって」

 部屋から出ていくユイナ。
 リウが桜の手錠を取る。

桜「来てくれてありがとう」
リウ「いや。遅くなってごめん」
桜「大丈夫だよ。なにもされてないし」
リウ「すぐ帰ろう」
桜「うん、だね」

 立とうとするが、ふらついて歩けない。

桜「あぁごめん。もうちょっと待ってもらってもいい?」

 リウが桜をお姫様抱っこする。

桜「ちょっ」
リウ「俺が運ぶから休んでろ」
桜「休めるかっ!」
リウ「ほら」

 おでこにキスをする。
 アイドルのリウになって、

リウ「王子からのお休みのキスだよ」

 桜赤面。

桜「いきなりアイドルの姿を見せるのは、ずるい!!」
リウ「ふっ」
桜「あー!笑った!もうっ!」
リウ「騒がしいな全く」

 家から出ていく。

 それを影からこっそり見ている人物が。
 嫉妬で爪を噛んでいる。



 
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