濁った僕を抱きしめて
ロングコートに、細身のパンツ。
ふわふわとして大きめのシルエットのニット。
さらりと羽織れるような軽いシャツ。


拓海くんは白いコーデュロイのジャケットを手に取っていた。


「それにするんですか?」
「なんか可愛くない?璃恋もこんなの買ってたよね」
「買いましたけど。お揃いにでもするつもりですか?」
「嫌?」
「大歓迎ですけど」
「なんだよ」


わたしが選んだ洋服を渡す。
拓海くんはそれを手に試着室へと入っていった。


洋服選びのセンスが特にあるわけでもないから、ただわたしの好みでかつ似合いそうな服を選んでしまった。


きっと今の流行りに敏感な女子高生なら、拓海くんなら何が似合うとか分かるもんなんだろうか。


しゃっと滑車が滑る音がして試着室のカーテンが開く。


拓海くんはニットとパンツを着て、その上にロングコートを羽織っていた。


「どう?あんまこういう格好しないからよく分かんないんだけど」
< 102 / 241 >

この作品をシェア

pagetop