濁った僕を抱きしめて
どうやらその言葉は本当らしい。


拓海くんは恥ずかしいのか、そわそわとして落ち着かない様子だった。


「めちゃくちゃ似合ってますよ」
「えーほんと?」
「ほんとですよ。この期に及んで嘘つかないですって」


拓海くんは笑いながらカーテンを閉めた。
次にカーテンが開いた時は拓海くんは来たときと同じ服装で、羽織ったジャケットだけが変わっていた。


「そのシャツもいいですね、春っぽい感じ」
「ね。なんか爽やか。ちょっとこれ持ってくれない?」


拓海くんから洋服を受け取る。
シャツを脱ぐと、コーデュロイのジャケットを羽織る。


「お、これめっちゃいいじゃん。どう?」
「いいんじゃないですかね」
「なんで今だけ適当なんだよ」


わたしが持っていた服を取って、全部の服を持ってレジに向かっていく。


いいお店なだけあって表示された金額はかなりのものだったけど、拓海くんは何も気にせずに会計をしていた。
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