濁った僕を抱きしめて
それが愛おしくて、握った手に力を込めた。


拓海くんの瞳に、綺麗な光が映る。
じっとそれを見つめていたら、拓海くんがこちらを見た。


「……何?」


優しい声色に話し方。
微笑みをたたえている唇。


「何でもないです」


冷たい風が時々吹いて、わたしの髪と拓海くんのコートの裾を揺らしていく。
ある程度イルミネーションを見て、駅に向かって歩き出した。


「璃恋?」


後ろから誰かに呼ばれた。
聞き覚えのない声に思わず振り返る。


「やっぱり璃恋だ!久しぶり!」
瑠希(るき)?」


高校でのクラスメイトで、お互いの家に泊まるような仲だった。
家を出た当日、瑠希の家に泊まらせて貰った。


「元気してた?半年以上学校来ないから、心配してたんだよ」
「あ、えっと」
「璃恋ママに聞いても、体調不良だって一点張り。自分の娘でしょうよ」


瑠希はどんどん言葉をまくし立てる。
昔もそうだった。
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