濁った僕を抱きしめて
わたしに話す隙を与えず、コロコロと表情を変えながら話す。
大きい瞳が見開かれたり、眉毛が下がったり、満面の笑みになったり。


そうやって表情が変わっていく瑠希を見るのが好きだった。


「……ねぇ、隣にいるの彼氏?」


こそこそと内緒話でもするかのように、わたしの耳に口を近づけて言ってくる。


「え、なんで?」
「だって、ふたりでイルミネーション見に来るなんてそれしかあり得ないじゃん。もー、彼氏出来たなら言ってよ」


おちょくるように肘で脇腹をついてくる。
力を入れるような動きをしているけど、一ミリも触れていないところが優しい。


「璃恋の友達?」


隣で黙りこくっていた拓海くんがようやく口を開いた。


「はい、一緒のクラスで」
「斉藤瑠希って言います。璃恋とはどういう関係なんですか?」
「ちょっと瑠希。拓海くん、言わなくていいですから」
「拓海くんって言うんだ~?」
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