濁った僕を抱きしめて
ーわたしー
第2節
ーわたしー
1
ーーピロン、ピロン。
十二月とは思えないほど暖かい光が差し込む部屋の中で、洗濯物を畳んでいたとき。
拓海くんは買い物に行ってくれていて、部屋にはわたしひとり。
ああもう、またポケットに物入れっぱなしにしてる。
なんて思っていると、携帯から通知音が鳴った。
誰だろう。
最近会った瑠希かな。
そう思いながら携帯を手に取る。
電源を入れれば、予想していなかった人の名前が浮かんでいた。
「……お母、さん」
あのうだるように暑い夏に電話をかけてきたっきり、一度も連絡を取っていなかった母親だった。
今回は電話ではなくメール。
電話もメールも、もう二度としてこないでと言ったのに。
大きくため息をついて、浮かんでいる通知を消した。
携帯の電源も切って、机の上に戻す。
再び洗濯物畳みに取りかかる。
ーーああ、集中できない。