濁った僕を抱きしめて
拓海くんに抱きしめられる。
力が強くて、息が苦しい。


それでも、わたしを想ってくれていると言うことだけは、痛いほど伝わってくる。


「変ですよね、こんな」
「変じゃないよ」


体温が離れていく。
苦しかった息は楽になり、それが少し寂しい。


「ちゃんと親のこと好きだったってことでしょ。いいよ、誇り持って」


何に誇りを持つんだか、よく分からないけれど。
拓海くんのお陰で、わたしは笑うことが出来た。


「……これ、行ってもいいですか?」
「勿論。言いたいこと言ってきな」


ありがとうございます、と小さく呟きながら、わたしはばら撒かれた洗濯物を手に取った。



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