濁った僕を抱きしめて
「あの」
「なんだよ」
「どうして、あなたは拓海くんのことを知ってるんですか?」


彼の息の音と、タバコのパチパチとした音が聞こえる。


口から煙を吐き出すと、タバコを灰皿に捨て、口を開いた。


「……もうすぐ、付き合って六年になる彼女がいたんだ」


話は予想していなかった方向のもので、長くなりそうだと思った。


「ある日、友達と飲みに行くっつって夜に家を出てったんだ。俺も知ってる奴とだったから何も思わず行かせんだけど」


内容が掴みずらい。
わたしの理解力が乏しいだけかもしれないけど。


「後々知ったけど、友達とじゃなかったんだよ。高校の時の同級生だってやつ」


頭の中で様々な考えが駆け巡る。
わたしはひとつの答えとも言えそうなものに辿り着いた。


「……それが、拓海くん……?」


彼は驚いたような表情をしてから、不穏な笑みを浮かべた。


「正解。名推理だね」
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