濁った僕を抱きしめて
「物わかりがいいな。まさか、お前も殺しやってんのか?」


わたしに寄ってきて、首筋に顔を埋めてくる。
息がかかる。気持ちが悪い。


「やっぱそうか。取れねぇんだよ、染みついた血の匂いは。お前も共犯か」
「だとしたらどうするんです?」


真下から彼を睨みあげる。
彼は少し怯むと、銃をくるくると指で回す。


「どうもしねぇよ。お前を殺してからあいつを殺す。それだけだ」
「その後あなたは?」
「自分で死ぬさ」


彼は何やらブツブツと言葉を呟いている。
つけているネックレスを握り、何かの誓いでもするかのように。


「そろそろあいつが来る。殺される準備でもしとけよ」


こんこん、と部屋をノックする音がした。
拓海くんが来たのだろうか。


彼がドアの方へと向かう。
その手には銃が握られ、いつでも引き金が引けるように指が添えられている。


ドアが開く。
耳を塞ぎたくなるような銃声が聞こえる。
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