濁った僕を抱きしめて
俺も冷静ではなくて、どうすべきか判断力を失っていた。


璃恋が何かを言いかけて、やめる。
もごもごと口を押さえられているような声が聞こえる。


なんだ。
向こうでは何が起きてる。


急いでビデオ通話に切り替えるけど、璃恋は応答しない。


ビデオ通話の画面に切り替わったと思ったら、知らない男が現れる。


「黒瀬拓海。俺はお前を殺す。これから住所を言うからそこに来い」


急いでメモを取り出して、言われた住所を書き殴る。
携帯に映し出された男の顔をスクリーンショットしておく。


後でどんなやつか調べておこう。


「おい、璃恋は」
「安心しろ、眠らせただけだ」


届かないと頭では分かっているのに、口が勝手に璃恋の名前を呼ぶ。


結果的にそれは誰にも届かず、電話が切られた。


舌打ちをし、携帯を手に持ちながら家を出る。
近くの駅まで走り、電車に飛び乗った。


座っている余裕はない。
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