濁った僕を抱きしめて
なるべくドアに近いところに立ち、他人(ひと)の個人情報が見れるサイトに飛ぶ。


闇サイトかって?そんなの当たり前だ。


先程手に入れた画像を検索にかける。
数人が出てくる中、一番上に出てきた男の画像をタップする。


顔も同じ。きっとこいつだ。


備考欄を見て息をのんだ。
そういうことか。


どうして璃恋を攫ったのか真意が掴めなかったけど、きっとこれが理由だ。


〈備考〉
半年ほど前に六年付き合った彼女を喪っている。
遺体の状況から殺害かと思われており、復讐を生きる道標にしている。


その彼女の写真もあった。
半年前に俺が殺した人だ、間違いない。


次の駅を告げるアナウンスが入る。
ここで降りるんだ。


ドアが開き、すぐに飛び出した。
ホームで電車待ちをしていたスーツの男性に嫌そうな目で見られたけど、そんなことを気にしている場合じゃない。


階段を全速力で降り、駅の構内を出た。
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