濁った僕を抱きしめて
立っている方がきっと璃恋を攫った男で、座っているのが璃恋だろう。


この状況でただ座らせられているとは考えにくいから、きっと手足を縛ってでもあるんだろう。


はぁとため息をついて、服の下に隠した銃を取り出した。


侵入も出来ない。
窓ガラスを割ったら一発でバレる。


仕方ない、真っ正面から挑んでやろう。


銃の速射速度には自信がある。
どれだけ早く引き金を引けるか、または相手の顔が出たタイミングに合うか。


もう何年も使っている銃だから、引いた感覚も弾の速さも分かっている。


玄関の前に立ち、インターホンを探す。
インターホンは見当たらず、ノックをするしかなさそうだ。
インターホンがないなんて、どれだけ古いんだ、この家。


こんこんとドアを叩く。
今時ノックなんてしないから、これで届くのか不安になった。


鍵がかちゃりと開く音がした。


ドアがゆっくりと開く。
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