濁った僕を抱きしめて
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わたしが攫われたあの事件から、数週間が経った。
あの男は彼女を拓海くんに殺され、それを恨んでこの事件を起こしたらしい。
遺体は一週間ほど経った後に見つかり、状況から自殺と判定されたそうだ。
なぜ母親のメールアドレスからメールを送れたのかと言うことについては、母親と連絡を取って知ることが出来た。
好意を持ったふりをして近づき、母親のいない隙にわたしに向けて送ったらしい。
どこまでも策略家だなと少し感心してしまった。
「拓海くん、いるものあります?」
「いや、特にないかな。欲しいもの買ってきな」
わたしたちは何も変わらない。
殺しをやめたりもしていない。
夜になるとふたりで家を出て、銃を握る。
昼は色々なところに行ったりもしている。
今日はどこにも行かず、わたしはスーパーに買い物に行くだけだけど。
スーパーに入ってかごを手に取る。