濁った僕を抱きしめて
いかにコンパクトにまとめるか、隙間に物を入れ込むか。


今回はいつもより物が少ないから、一時間ほどあれば終わるだろう。


「拓海くん、家具はどうするんですか?」
「家具?面倒臭いから置いてく。他の家にも置いてあるし」


本当に指名手配される気満々だったんじゃないかと言うほど用意周到だ。


取り敢えずお気に入りの服を引っ張り出し、床に置いておく。


こういうことはしない方がいいんだろうけど、今はとにかく時間が無いので許して欲しい。


二階に上がって必要なものを探す。


ここに来てから置きっぱなしにされていたスクールバッグと、いつもお出かけの時に使っているショルダーバッグを手に取った。


他にも何かあっただろうか。


辺りを見渡しても何も見当たらないから下に降りる。


洗面所に拓海くんがいて、風呂場の道具や洗面台にしまわれた道具を出している。


「何か入れましょうか?わたし詰めるの得意なんです」
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