濁った僕を抱きしめて
「そうだな、甘いのが良い。メロンパンとか」
「ずいぶん可愛いもの頼みますね」
「良いだろメロンパン」


璃恋が笑いながら車を降りていった。
お金を渡そうと財布を出したけど、璃恋に手で止められた。


「お金はありますので、大丈夫です」


そうは言っていたけど、本当に大丈夫なのだろうか。
毎月ある程度の額は渡しているけど、こないだ一人で買い物に行って結構使ったみたいだし。


年頃の女の子だ、お金なんていくらあったって困らないだろう。


後ろポケットから携帯を取り出す。
SNSは俺の話題で持ちきりになっていた。


『こいつ百人以上殺してるらしい。人間のクズだな』
『似てる人近所で見た気がする……まってこわい』
『殺人鬼ってほんとにいるんだなって感じ、うちのことも殺して欲しい』


上へ上へと画面をスライドしていけば、それと共にどんどん投稿が増えていく。


俺を罵倒するようなコメントもあれば、怯えるようなコメント、逆に殺して欲しいというコメントまで出てくる。
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