濁った僕を抱きしめて
本当なのかと疑いながら、二階に続く階段を拭きながら上っていく拓海くんの後ろ姿を見送った。


わたしも洋服の袖をまくって、よしと気合いを入れた。


まずは雑巾で床を拭く。
小中学生の時の清掃のようで楽しい。


大きなテレビ台とソファの下はどうしようかと思ったけれど、クイックルワイパーを使えば届いたので問題ない。


ある程度リビングを綺麗にしたら、次は洗面所に取りかかる。


風呂場にあった桶や椅子はカビが生えていて、なぜかあったゴミ袋に突っ込んでおいた。
後で捨てれば良いだろう。


そうやって掃除をしていると、二階から拓海くんの叫ぶ声が聞こえた。


一瞬で鼓動が早くなる。
何があったんだろう。
そう思いながら急いで階段を上った。


「拓海くん、どうしたんですか!?」
「璃恋、あれ」


拓海くんは何かに怯えてドアの近くにしゃがんでいる。
指差した部屋に入るとそこは寝室で、一見何もないように見えた。
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