濁った僕を抱きしめて
それでも蓄積された埃は目立つ。


雑巾を濡らして埃を拭き取る。
大体綺麗にしたところで、ほぼ灰色になった雑巾を持って拓海くんが降りてきた。


「お、終わりましたか?上の掃除」
「終わった。虫も出なかったし」


掃除より虫がいるかいないかの方が大事らしい。
汚くなった雑巾を洗おうとしていたけど、もう使えないと思ったのかゴミ袋に入れていた。


わたしもゴミ袋に雑巾を入れて、水に濡れた埃がついた手を洗った。


冬になると水が冷たく感じて、手を洗うのがおっくうになる。
これである程度の掃除は終わっただろうか。


拓海くん曰く二階にあったベッドはカバーを変えたら大丈夫だと言っていた。
カバーはあるのかと聞いたら「なんか置いてあった」らしい。


置いてあるソファに腰を下ろす。
ソファは思ったよりも固かった。


前のソファがダメになってきて、柔らかくなっていたからそう思ったのだろうか。
< 167 / 241 >

この作品をシェア

pagetop