濁った僕を抱きしめて
「あー疲れた。昼寝しようかな」
「いいですけど、近くに何があるか見ておいた方が良くないですか?」
「それは夜にしようよ」


もう拓海くんは寝る気なのか、背もたれに頭を預けて瞳を閉じていた。
こうなってしまえばもうわたしには何も出来ない。


わたしも背もたれに頭を預けようとしたけれど、拓海くんの肩が空いていることに気がついた。


えい、と拓海くんの方に頭を乗せた。


心地よい温もりがわたしを包む。
わたしの頭の中からは逃げるなんて言葉は抜けていた。


ただただ安心だけが、わたしのそばにある。


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