濁った僕を抱きしめて
この家に来てから俺も料理をするようになった。


理由としてはアパートから一軒家になってキッチンが広くなったことが大きい。
今まではふたり並ぶのに精一杯だったけど、ここは並んでもまたスペースがある。


一から十まで料理が分からないから、璃恋に教えてもらいながら少しずつ、だけど。


昨日の夜のうちに璃恋が用意しておいてくれたフレンチトーストを冷蔵庫から取り出す。
前日のうちに用意しておけば翌日焼くだけだから簡単だ。


璃恋はまだ眠いのかリビングの椅子に座ってうとうとしている。


そんな璃恋を横目に見ながら俺はフライパンを出した。


バターを入れて、中火で溶かす。
卵液を吸ってほんのり黄色に染まっている食パンをのせた。


璃恋に教えてもらったけど、フレンチトーストは弱火でじっくり焼くことがコツらしい。


全部の面に焼き色がつくまで焼いたら皿に移す。


すぐ食べると熱いから、その間にココアの準備をしておこう。
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