濁った僕を抱きしめて
俺もフレンチトーストを一口食べる。
もう少し甘くても良かった気がする。


「そうだ、今度クリームとかジャムとか乗せる?」
「ありよりのありです」


ふたりでフレンチトーストを平らげ、俺が皿を洗う。
璃恋は洗面所で歯ブラシを咥えている。


家事は前と違って分担制にした。
家が広くなった文、璃恋の負担を少しでも減らしてあげたかったから。


そんなの気にしなくていいですよ、と言われたけどもう最期が近づいている。
やれることはやれるだけやっておきたいと思った。


今日は何も予定は無い。
と言っても、ここに来てから一歩も外に出ていない。


俺は近くのコンビニですら怖気づいて、買い物は全て璃恋が行ってくれている。


情けないけれど、璃恋は拓海くんのためですと言ってくれた。


璃恋は歯磨きと着替えを終え、小さな鞄を持ってリビングに降りてきた。


一緒に冷蔵庫を確認すると、必要なものをメモして買い物に出ていった。
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