濁った僕を抱きしめて
傷つきたくない。


拓海くんと過ごすようになって、最初のうちもそうだった。


嫌われたくない、傷つきたくないから、必死に行動していた。
拓海くんが笑ってくれたら同じような行動を繰り返して、自分からは踏み込まないで。


それが、楽だと思っていたから。


ーー人生なんて意味がない。


人はいずれ死ぬし、数百年すれば作られた物もみんな消える。
なのになんで人生を楽しく生きろとか、自分で死ぬなとか、そういう無責任なことを言うんだろうと思っていた。


わたしも元々死んでいる予定だった。


運良く誰かに拾われたとして、どこかで生活に飽きる日が来る。
そう思ったらひとりでに抜け出して、どっかで死んでやろうと思っていた。


なのに、なのに。


どうしてそういう時に限って、神様は一緒に生きたくなるような人と出会わせたりするんだろう。


死ぬまで一緒にいたいと思えるような人と、出会わせたりするんだろう。
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