濁った僕を抱きしめて
理不尽すぎるだろう。


そんな人と出会わせておいて、未来には死ぬしかないだなんて。
わたし達が幸せになれる道はなくて、いやあるのかもしれないけど、そこに行くためには必須条件として死がある。


ーーふたりで生きて、幸せになれる道はないの?


視界が曇ってきて、出っ張った石に躓いた。
見知らぬ人が助けようとしてくるけど、顔を見て離れていく。


泣いて、泣いて、メイクがボロボロになっていたからだろう。


抑えられずに嗚咽を漏らしながら泣いた。
残念なことに、泣いても世界はどうにもならない。


泣いたから神様がどうにかしてくれるって訳じゃない。
そんな世界だったらわたしは目が真っ赤になるまで泣いただろう。


あまり泣かない拓海くんだってそれぐらい泣くはずだ。
いやでも拓海くんだったら泣かないのかも。
「璃恋の前で泣きたくない」みたいなことを言っていたし。


ぐっと目と鼻を真横一直線に拭った。
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