濁った僕を抱きしめて
怪我の手当てには慣れている。
学校で保健委員をしていたし、仕事で拓海くんがよく怪我をするから。


手早く消毒を済ませ、膝と肘に絆創膏を貼った。
ズキズキと痛んでいたけど、少しはマシになった。


「璃恋、二階行って服取ってきてくれる?俺下のやつやるから」
「了解です」


救急箱はまた持っていくのでリビングのテーブルに置いた。
手すりに手を置きながら階段を駆け上がり、クローゼットにかけられた服を片っ端から取った。


他にもいる物はないかと辺りを見渡す。
持ってきたスクールバッグと制服が目に入った。


少し悩んで、それには手を伸ばさなかった。


もう必要ないと思った。


「拓海くん、服全部持ってきました。後この辺いりますかね」
「ありがとう。最悪服だけあればいいよ」


拓海くんが服からハンガーを外してくれる。
もうこの際どっちがどっちに入れるなんてどうでも良いから適当に畳んでしまう。
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