濁った僕を抱きしめて
家まで歩いて、先に中に入らせた。


殺人現場を目の前で見るのは女子高生には酷だろう。
ましてや初めて会った人が殺す側なんて。


撹乱するように汚い路地裏に入り込む。


やっぱりそうだ。後ろからの足音は消えない。
確実に着いてきている。


腰につけたホルスターから銃を抜く。
丈の長いシャツで隠したナイフをいつでも抜ける体勢にしておく。


突拍子もなく走り出す。
後ろの足音も続けて走り出した。


ーーよし、かかった。


曲がった先で止まり、銃口を道に向ける。
足音が近づいてくる、このタイミングでー


銃の引き金を引いた。


パァンと耳をつんざくような音と、銃口から吹き出す煙。
消音器で音は消していたはずなのに、この近距離だと消しきれない。


ぐしゃりと何かが潰れるような音がする。


銃を構えながら相手の様子を伺う。
角の向こうは音一つしない。
< 23 / 241 >

この作品をシェア

pagetop