濁った僕を抱きしめて
見知らぬ男は真っ赤な血を撒き散らして倒れていた。


きっと脈は無いだろうが、一応ということでもう二発ほど撃ち込んだ。


銃をしまい、それに背を向けて颯爽と歩く。


それがどこの誰かなんて気にならなかった。
もう殺したやつのことなんて、どうでもよかった。


ーーーーー


コンビニで食べれそうなものをいくつか買い、あのボロアパートに戻る。


部屋は彼女の手によって片付けられていた。


「そう言えば、名前聞いてなかった。君、名前は?」


目の前の彼女が少し考えこむ。
いきなり名前を聞くのは流石にデリカシーがなかったかと思った。


「……ごめん、嫌なら言わなくていいよ」
「いえ」


顔を上げた彼女と視線がぶつかる。
自分でもどうしたらいいのか迷っているような表情をしていた。


「萩乃璃恋、です」


綺麗な名前だな、と思った。
< 24 / 241 >

この作品をシェア

pagetop