濁った僕を抱きしめて
それの後処理をして、また夜空を見上げた。


空は相変わらず黒い。
星がひとつだけ、瞬くように輝いていた。







音を立てないよう、ゆっくりと鍵を回す。
そーっとドアを押し、部屋の中の様子を伺う。


璃恋は俺が家を出た時と同じ場所ですうすうと寝息を立てていた。


白くてすべすべとした肌に触れる。
ん、と少し色っぽい声が漏れた。


かわい、と呟いた声は音にならずに消えていった。


暖かい感情を抱く度、同時になんとも言い難い感情の波に襲われる。


「どうして彼女を拾ってしまったんだ」
「可愛い」「愛おしい」
「どうして」「どうして」


ーー拓海くん。


璃恋の声で現実に引き戻された。
瞳は相変わらず開かない。


寝言だとわかっているけれど、今名前を呼んでくれたことが嬉しかった。


璃恋の細っこい腕を握る。


ーーひとりじゃない。ひとりじゃない。


そう言い聞かせながら、眠りについた。
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