濁った僕を抱きしめて
「ごめんなさい、こんなこと急に言って。気持ち悪いですよね」


手を払って、くっつけた膝の上に置いた。


拓海くんは動かず、同じ場所に手を置き続けている。


申し訳ないと思った。
わたしのせいで拓海くんを困らせている。


「……ごめん」


小さく拓海くんが呟く。
どうして拓海くんが謝るんだろう。
悪いのはわたしだ。


勝手に過去を押し付けて、その上勝手に謝って、勝手に完結して。


人間の最低な部分を寄せ集めたような行動をしている。


「どうして、拓海くんが謝るんですか。悪いのはわたしです」
「いや、俺もごめん。嫌なこと話させたな」


気まずい沈黙が流れる。
何を言えばいいんだろう。
分からなくなって視線を動かす。


拓海くんも同じような表情をしていた。


「……今日は、大丈夫?雷。寝れる?」


ーー甘えても、いいのかな。


一緒に寝て欲しいです。ひとりじゃ嫌です。
そう言えたら楽なのに、申し訳なさがわたしをとどまらせる。
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