濁った僕を抱きしめて
一発で終わりになる場所を狙って刺す。


身を捩られることもなく、小さな呻き声のあとにふわりと力が抜けていく。


それを支えず、地面にばたりと倒れさせた。


空を見つめる虚ろな瞳を見る。
いつもなら少しの昂揚感が得られるのに、最近からそれがない。


それどころか少しの苦痛すら感じるほどだ。


光が生まれれば影が生まれる。
それは必然的なことで、変えようにも変えられないもの。


もし光と影、その片方が強すぎた場合、ふたつの関係はどうなるのだろうか。


答えは簡単。


どちらかが増えれば、それに順応するようにもう一方も増える。


もしくは、片方が無くなる。


璃恋との生活によって生み出された強すぎる光。
それによって、俺が持ち合わせていた影は消えようとしている。


失ったら失ったで楽なのだろう。


罪を認めて死ぬか、偽りの身元を用意して生き直すか。


どちらにしろ俺には無理な気がする。
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