濁った僕を抱きしめて
「そうです、毎日うんざりしっぱなしですよ」
口ではそう言ったが、それほどうんざりすることは無かった。
母親は男の家に入り浸り、父は仕事で海外にいる。
必然的に一人でいることの方が多かった。
「……そう言えばさっき、付き合ってるって」
「あー、ごめん。咄嗟に嘘ついた。嫌だったろ」
そう言って拓海くんは立ち上がり、冷蔵庫からビールを出す。
「……嫌じゃない、って言ったら、どうしますか」
ビールを開けようとした拓海くんの動きが止まる。
面倒臭いことを言っているのは分かっている。
いま私が言おうとしていることは、きっとどちらの得にもならないものだ。
最悪の場合、この状況を変えてしまうかもしれない。
「何、お世辞?笑わせようとしてくれてんの」
「本気ですよ」
お互い何も言わず、ただ目と目が合う。
「……拓海くん」
ーー好き、です。
そう言おうとした言葉は、無機質な機械音によって遮られた。
口ではそう言ったが、それほどうんざりすることは無かった。
母親は男の家に入り浸り、父は仕事で海外にいる。
必然的に一人でいることの方が多かった。
「……そう言えばさっき、付き合ってるって」
「あー、ごめん。咄嗟に嘘ついた。嫌だったろ」
そう言って拓海くんは立ち上がり、冷蔵庫からビールを出す。
「……嫌じゃない、って言ったら、どうしますか」
ビールを開けようとした拓海くんの動きが止まる。
面倒臭いことを言っているのは分かっている。
いま私が言おうとしていることは、きっとどちらの得にもならないものだ。
最悪の場合、この状況を変えてしまうかもしれない。
「何、お世辞?笑わせようとしてくれてんの」
「本気ですよ」
お互い何も言わず、ただ目と目が合う。
「……拓海くん」
ーー好き、です。
そう言おうとした言葉は、無機質な機械音によって遮られた。