濁った僕を抱きしめて
この仕事にやりがいなんか感じていない。
楽しさも喜びも、何もない。


ただ、生きるために必要だからやっているだけ。


「……そろそろ終わりか」


会話もつまらなくなってきた。
それに眠気がする。早く帰って寝たい。


「……じゃあね、父さん」
「え?あぁ、またな」


帰ろうとした父親の腕を掴み、何も言わずに引き留める。


「なんだぁ?たく」


名前を最後まで呼ばれる前に、顔面に向けて何発か撃った。
すぐに顔の肉が崩れていく。


返り血を胸の方に浴びた。
少しでも父親の血に触れてしまったことが気持ち悪くて仕方ない。


ーー俺も、その父親の血が流れているというのに。


どしゃりと投げ捨てるように父親を地面に置いた。
潰れていた顔がより潰れ、もうどれがどこのパーツなのか分からない。


もう、母親も父親も、どちらも亡くした。


悲しくもない。
あんな人たち、どうでもいい。


生きる希望なんて、とうに捨てた。
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