濁った僕を抱きしめて





「璃恋?」


隣で銃を構えた拓海くんに呼ばれた。


「ごめんなさい、ぼーっとしてて」
「しっかりして、気抜いたら死ぬよ」


拓海くんが言うと全く笑えない。
銃を握る手に力を込めた。


「……いた。行くよ」


拓海くんに続けて走り出す。
十二月となると肌寒い。
手をこすり合わせて、はぁと息を吹きかける。
白い息が浮かんで、消えていった。


拓海くんが一瞬振り返り、わたしを見てから角を曲がる。
そういう瞬間的な仕草が嬉しくて、幸せな気持ちになって、頬がほころぶ。


道の先で拓海くんが手招きをしている。
小走りで向かい、しゃがむよう合図をされた。


「先行くから、後からついてきて。また合図するから」


返事を待たずに歩いていく。
颯爽と歩く後ろ姿が何よりもかっこよく視界に映った。


控え目な銃声が聞こえた。
いつも手元から音が出るから大きく聞こえるけど、少し離れているとこんなにも変わる物なのか。
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