濁った僕を抱きしめて
雪玉を作り終えて立ち上がる。
拓海くんがいる方に投げようとしたら、ボロボロと崩れてしまった。


「うわ、崩れてる」
「笑い事じゃないんですけど!」


拓海くんに笑われて、むきになって言い返す。
もう一回雪玉を作ろうとしゃがめば、拓海くんが雪玉を投げてきた。


「お、当たった」
「拓海くんが投げてくるの痛いんですよ、やめてくれません?」
「それは無理」


形がいびつになってしまったけれど、まぁいいだろう。
同じようにしゃがんでせっせと雪玉を作っている拓海くんに向かって投げた。


「いった……やったな」


かき集めては投げて、かき集めては投げてを繰り返す。


やっていることは馬鹿みたいなことで、今までのわたしなら絶対にやらなかったことだけど、拓海くんとなら嫌だと思わないのはなぜだろう。


やがてふたりとも力尽きて、わたしはふかふかの雪にばたんと倒れ込んだ。
隣に拓海くんも寝転ぶ。
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