濁った僕を抱きしめて
「雪って思ったより固いんだな、寝心地悪い」
「ここで寝る気ですか?」
「俺はいいけど」
「絶対に嫌です」


雪に散々触れた手が冷たい。
手袋とかマフラーをしてくればよかった。
第一遊ぶなんて思ってもいなかったから仕方ないか。


木が空を覆っていて、木と木の狭間からしか夜空が見えない。


それでも所々に見える星はまばゆい輝きを放っていた。


「綺麗ですね、星」
「そう?俺の方からだと全く見えない」


んしょ、と拓海くんがわたしの方に身体を寄せてくる。


「どうするんですか、誰かに見られたら。変な人だと思われますよ」
「大丈夫だよ、時間が時間だし」


そう言われればそうだけど、やっぱり不安は拭えない。
というか今何時なんだろう。
家を出るときにちらっと見た時計は十一時過ぎを指していた。


「ほんとだ、綺麗な星。特にあれが綺麗じゃない?」
「あれってどれですか?あの大きいやつ?」
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