濁った僕を抱きしめて
一段と目を引く、大きな星が空に浮いていた。
それを指差す。


「俺が言ってるのは違うやつ。ほら、これ」


拓海くんがわたしの手を取って動かす。
指の先には、真っ黒な空にぽつりと浮かぶ星があった。


「ほんとだ。綺麗ですね」
「でしょ」


「あの星、拓海くんみたいです」


わたしがそう言うと、拓海くんは笑いながら起き上がった。
それにつられてわたしも起き上がる。


「俺みたいってどういうこと」
「悪い意味じゃないですよ?」
「分かるけどさ」


近くの遊具に手を置いて、力を入れて立ち上がる。


「綺麗ってことですよ、あの星みたいに」


言った刹那に恥ずかしさが込み上げてくる。
こういう台詞はどうも性にあわない。


言われるのも慣れていないし、言うのも慣れていない。


「……なんかいざ言われると恥ずかしいな」


それは拓海くんも同じなようで、照れたように顔を隠して笑っていた。
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