濁った僕を抱きしめて
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「イルミネーションでも見に行かない?」
家の近くのスーパーで貰ったチラシを手でひらひらさせながら言った。
「イルミネーション?どこにあるんですかそれ」
「ちょっと遠いんだけど、せっかくなら行こうかなって」
璃恋は洗濯物をたたみながら微笑む。
「いいですよ、行きましょう。その代わりひとつ条件があります」
いつかの俺が言ったような台詞を吐く。
璃恋もそう思ったのか、笑いながらチラシに手を伸ばした。
「これ、ショッピングモールの近くですよね。買い物、付き合ってくれませんか?」
何だと思えばそんな可愛い頼みだったとは。
そんなもの何回だって答えてやる。
「そんなんでいいんだ?」
「はい。冬用の洋服とか色々欲しいんですよね」
「服?璃恋のためならジュエリーだって何だって買うけど」
「拓海くんが言うと本当になりそうだから怖いです」
璃恋が肩をすくめる。