凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
一章、願っていた再会
精霊たちが住まい豊富な鉱石を有する霊峰が北部に広がるトゥイルス国。山から流れくる清らかな川のそばには精霊たちと人間が協力し合って繁栄してきた首都のアーシアンがある。
時を遡ること十七年前、月の清らかな光が差し込む部屋の中、アーシアンに居を構えているバスカイル伯爵家にひとつの命が誕生した。
「頑張りましたね。元気な女の子ですよ」
産婆は生まれたばかりの赤子を優しく抱きかかえ、顔色悪くベッドで休んでいた母親の元へと連れていく。
「……ああ……ようやく会えたのね。愛しいあなたに」
母親は微かに震える手を伸ばし、柔らかな赤子の頬に触れ、目に涙を浮かべた。
自分の腕で抱くべく、母親が産婆から我が子を受け取ったその瞬間、天地を切り裂くかのような激しい雷鳴が響き渡った。
母親と産婆は身を強張らせながら窓へと視線を向けるが、夜空に黒い雲など立ち込めていなく、揃って怪訝の表情を浮かべる。しかし、不意に感じた気配にふたりは勢いよく室内へと振り返り、目を大きく見開く。
時を遡ること十七年前、月の清らかな光が差し込む部屋の中、アーシアンに居を構えているバスカイル伯爵家にひとつの命が誕生した。
「頑張りましたね。元気な女の子ですよ」
産婆は生まれたばかりの赤子を優しく抱きかかえ、顔色悪くベッドで休んでいた母親の元へと連れていく。
「……ああ……ようやく会えたのね。愛しいあなたに」
母親は微かに震える手を伸ばし、柔らかな赤子の頬に触れ、目に涙を浮かべた。
自分の腕で抱くべく、母親が産婆から我が子を受け取ったその瞬間、天地を切り裂くかのような激しい雷鳴が響き渡った。
母親と産婆は身を強張らせながら窓へと視線を向けるが、夜空に黒い雲など立ち込めていなく、揃って怪訝の表情を浮かべる。しかし、不意に感じた気配にふたりは勢いよく室内へと振り返り、目を大きく見開く。