どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 その時、陽介の靴を片手で持つ、陽が戻って来た。
 「こんにちは、夏目さん」
 「冬月副社長、ご無沙汰してます」
 「陽、夏目くん、結婚するんだって」
 「そうですか、おめでとうございます。お仕事の方も、順調ですか?」
 「大変ですね、跡継ぎって。家庭も仕事も冬月副社長に負けないように、頑張りますよ」
 「えぇ、また、お仕事で会いましょう」
 「では、失礼します。春風、元気でな」
 「夏目君も」
 夏目君は、相変わらず爽やかな笑顔で、手を振って帰って行った。

 「いい男だな」
 「そうだね、きっと奥さん、幸せだよ」
 夏目君ならきっと…大切にしてくれるはずだから…

 夏目君が見えなくなると、陽が私の顔を覗き込んだ。

 「もう、泣かないんだな」
 「だって、私の方が幸せだから」
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