どちらとの恋を選びますか?【後編】~元彼御曹司のとろ甘愛に溶かされて
 私が笑顔で陽を見ると、珍しく照れ笑いしていた。
 「その言葉、ずっと言われるように努力するよ」
 パパの陽は、一層優しくなって、変わらずカッコいい。

 「ねぇ、あの桜、綺麗だね」
 「もうしばらく見れなくなるなぁ」
 「私ね、陽と別れてから、桜が嫌いだった。凄く寂しくて。でも今はね、桜が大好きになったの」
 「俺は、皆が、桜が綺麗というのが、嬉しくもあり、本当の綺麗さを知ってるのは俺だけだ、って言いたいよ」

 ママになっても、愛を語ってくれる陽の言葉に、幸せが込み上げる。
 「しばらく日本に戻らないから、買い物しろよ。次はどこに行くんだ?」
 「あのね、陽の好きなさ……」

 私は、ベビーカーを押す陽の腕に抱きつき、楽しいひとときを過ごす。

 あの日、1人でロスに旅立った陽と、今度は家族として向かうんだ。

 陽が桜の木の傍で止まって、2人で桜を見上げた。
< 107 / 109 >

この作品をシェア

pagetop